■あらすじ
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四国の旅で、思いつきでふらっとお遍路に参加中。
ハードルを少し下げて巡れるように「カジュアルお遍路」という独自の方法を採用。
7番札所「十楽寺」まで来たところでアクシデントに襲われる。
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【靴擦れ】くつ‐ずれ
[名](スル)靴が足に合わずに擦れて傷ができること。また、その傷。
※提供元:「デジタル大辞泉」
違和感は、確かに感じていました。
しかし、大丈夫だろうと歩を進めていましたが、少しづつですが着実に足へのダメージは蓄積していました。
本格的に痛みを伴い、発生してしまいました。
合わない靴では無かったのですが、運動用ではありませんでした。
これからお遍路を考えている方は、運動用の靴を強くオススメします。
※女性用のストッキングの上に靴下を履いておくと靴擦れしないと、この後に会うお遍路の猛者の方に教えて頂きました。出発前に知りたかった(涙)
足が痛いので休憩に入ります。
十楽寺前のうどん屋です。
この時点で時刻は14:00を過ぎていました。
本日の予定からは少し遅れているため、急ぎ足で進みます。
次は熊谷寺(4.2km)です。
きれいな花ですが、気持ちばかりが先に行きます。
朽ちた家をたくさん見かけました。
良くないことは重なるものです。
道を急いでいるうちに、風景に違和感を覚えました。
「本当にこの道であっているのか…?」
ちょうどケータイのバッテリーが切れて充電していたため、Google Mapを使っていない時でした。
お遍路道には↓のような道標があって、それを頼りに進みます。
これに従ってまっすぐ歩いていたわけです。
これ、間違いでした☆
本当はここで右へ曲がると、すぐお寺でした。
「目に見えるものだけを信じてはいけない…」
そう教えられた気がしました(いや、当時は本当に憤慨しました)
お遍路道には、上のような張り紙などの順路案内、メッセージなどがたくさんあります。
いくつかご紹介します。
一番よく見かけるタイプの順路案内。
「心が洗われる」私はちょっと前までこの言葉を「心が表れる」と、自分の気持ちが素直に出ちゃうことを言っているのだと思っていました。
・8番札所「熊谷寺」
仁王様は派手派手☆ですが、全体的に質素な感じのお寺でした。
何かを踏んづけての決めポーズです。
こちらも何かに乗っています。
挨拶も早々に、次は法輪寺(2.4km)です。
ここの道のりが、本旅では一番厳しかったです。
宿の予約があるから予定の場所までは行かなくてはいけない。
そのため、急ぎ足で進む必要がありました。
しかし、体力的にも足の靴擦れもどんどん悪化して、足が重く、これまでに比べるとたいした距離ではないですが、長く辛いものに感じていました。
その時、曇っていた空に切れ目ができて、光が差し込んできました。
すごく幻想的な風景でした。
うまく言葉では言い表せないのですが、これが見れただけでこの旅の価値はあったというか、これを見るためにここまで来た、といった感情が沸き起こっていました。
気づくと「ありがとうございます」と呟いていました。
・9番札所「法輪寺」
ここの龍はひげが立派です。
ここで「わしは500回以上満願達成しとる!」というおじいさんに出会ったのですが、詳しい話も聞きたかったのですが、時間がまずいことになります。
次の切幡寺までは3.8kmですが、16:00を回っていました。
納経は17:00までなので、ほとんど余裕が無い状態でした。
プランとしては11番まで回って宿、という形でしたが10番まで回って、11番は明日というプランに変更せざるを得ませんでした。
もう夕暮れが近づいています。
・10番札所「切幡寺」
到着した頃には雨も降っていました。
何とか17:00までには到着できましたが、最後に階段が行く手を阻みます。
ここまで来ると、さすがに限界に達していました。
そして次の藤井寺までは9.3kmあります(宿もその近くにあります)
残念でしたが、タクシーを呼び宿まで行きました。
本日は疲労困憊のため、写真はここまでになります。
■お遍路熟練者との出会い
宿では歩き遍路をしている方と一緒に食事になりました。
一人は73歳のおじいさん(見た目は若い、最近K2を攻略したとおっしゃっていました)、もう一人は60歳の女性の方でした(見た目は年齢より若く見えました)
お二人に共通することは、以前参加して楽しかったので、2周目、3週目をしているとのこと。
何が楽しいのか伺ってみると「人との出会い」なのだそうです。
例えば、歩き遍路を私のように分けて行うのでなく一発で全部回る場合、最初の宿で一緒に食事をした人と途中や終盤で偶然再会する、ということがあるそうです。
その時は、生き別れた肉親に再会したような、なんとも感慨深い気持ちになるのだそうです。
名前もろくに聞いていない、深く知らない相手に対してそのような感情を抱くことは確かに不思議ではあるのだけれど、そういう気持ちになるそうです。
つらいことを共有するということは、たとえ全然知らない相手でも絆を深めるものなのかなぁと感じました。
お遍路は、実際は非常に過酷な旅で、白衣を着て白装束なのは道中いつでも死んでも良い、という意味が込められているのだそうです。
確かに私も「カジュアルお遍路」を実践してみましたが、参加のハードルは下がりますが、道中は決してお手軽なものではありませんでした。
私はまだまだやりたいことがあるし、次へ進むためのお遍路なので、道中いつでも死んでも良いという覚悟はありませんでした。
そういった意味でも、 白衣は着なくて正解だと、今でも思っています。
■3日目(11番札所)
昨日泊まった吉野旅館。
次は藤井寺です。
・11番札所「藤井寺」
早朝なので、人もまばらです。
この先が「遍路転がし」と呼ばれる道です。
この後の旅は、当日の体調でと考えていましたが、さすがに靴擦れは治っておらず、それどころか膝の腱も痛めていました。
そのため、この後もプランどおりに進めることは難しいと判断し、今回の旅はここまでに致しました。
■まとめ的なもの
お遍路をしてみての感想を以下にまとめてみました。
・お遍路を通じて、自分と向き合うことができた。
これは、普段の生活ではなかなかできないことで、目的地に向かってひたすら歩く、もしくはひたすらお経を見よう見まねで唱える、という行為によって自分に向き合わざるをえなくなるため、その意味では非常に効果があった。ノイズも少ないので、自分に向き合いやすいし、 自分探しなどにも良いかもしれない。発見も多い旅だった。
帰ってきて、自分については少し変わったかな、と感じることができた。
・歩くのは思っていたよりつらい
いくらでも歩けると思っていたけれど、意外と歩けない。
小さなことでもこつこつと貯まっていくと大きな効果があることを再確認した。
・また行きたい
今回は11番で断念しましたが、やってみた後の感想としては、続きをしたいなぁと思った。
つらいこともあるけれど、発見も多い旅だったので、迷った時に行きたい。
特に遍路転がしには挑戦してみたい。
今回の旅では、参加のハードルを下げるべく「カジュアルお遍路」なるものを実践してみました。
個人的にはあまり固く考えずに、出来る範囲でやればよいと感じました。
実際に、普通の服で回っていても何も言われないし、変な目で見られたりもしませんでした。
大切なのは心で、 何を目的にしてどういった気持ちで参加するのか、ということが重要だと思いました。